俺は眉間にしわを寄せ、少し男を睨みつける。





「何が言いたいのですか」





そう、一蹴するようにきつめに言い放つが、男はやはり、余裕な笑みを見せた。





「そういう腕を持った奴を、ずっと探していたんだよ。……お前に合った仕事がある」


「……」


「これから、新選組副長である俺からお前に、直々に“良い”命令を下すんだ。滅多にねぇことだからよく聞け」





良い、という部分を強調して言う男。


……それにしても、随分と偉そうな態度だな。


副長だろうが何だろうが関係ない。


何故、人斬り集団新選組の男に、俺が命令をされなければならないのか?


怪訝そうに俺が男を見据えるも、男は表情を一切変えず、それがさらに俺を苛立たせる。


だが、そんな風に思っていた俺は……もっと日が経った後には、この男を慕うようになるのだった。





「新選組に入隊することを命ずる。処遇は、諸士調役兼監察だ」





それは、新選組嫌いな俺が、強制的に新選組に入隊をしてしまった瞬間だった──。