「よ…しの……?」 歩みを進めれば、芳乃と一緒に摘んだ、桃色や黄色の花があった。 ……さっきまでここに芳乃がいた気がしてならなかった。 「芳乃……っ!」 叫んでも叫んでも、あいつは俺の前に現れなかった。 どんなに走っても、どんなに転んでも。 森の中、京の町。 家に帰って、必死の思いで、父上に小松家のことについて聞いた。