闇ノ雫




「お爺ちゃん……っ!」




しかし、倒れていたのは小松ではなく、一人の老人だったのだ。


叫ぶ小松と、大量の血を流す老人……小松の、祖父。


──何故、小松以上に俺を憎んでいるはずのこの人が、俺と小松を庇ってくれたのだろう。




「新撰組の者を庇ったという事は、お前もそいつの仲間か⁉」




……!?



いつの間に、俺が新選組の者だと気付かれていたのだろう。


まさか、新選組の陣地から出たのを見られていたのだろうか。


カチャリ、と小松の方に銃口が向く。



何故、俺じゃない?


やめろっ…!


素早く懐から苦無をいくつか取り出し、俺はそのうちの一つを敵に向けて投げつけた。