そして、視界の端に、木に隠れ銃を構えた男が映った。
殺気はこいつだったのか……。
だが、小松を撃たせるわけにはいかない。
妙に冷静だった俺は、ぐっと小松の体を掴んで、自分を銃口に向けた。
──自分の命は、小松の手によって終わると思っていたが……違うようだった。
あの西洋の楽器の音も、微かに俺の耳に入り、俺が伝えなくとも副長は知るのだろうと悟る。
今、この命は終わるのだと覚悟したその時。
パァンッ!
銃声が響いた。
だが、覚悟していた痛みは……死は、一向に来なかったのだ。
何故……
まさか、小松が!?
この日初めて気を取り乱し、バッと小松から離れる。

