父上に見付かれば、何を言われるか分からない。


……が、見過ごせるわけがなかった。


泣き叫んでいる、女の子の声を。


俺は、気配を消すとかそんな事を考えずに、走り出した。


無我夢中で走って中に入り……


音を頼りに、激しい戦闘が行われている場所へと近付く。





──ガラッ!





「いいから、早く行きなさい!」


「ねぇ、やだよ!母様!」





そして、とある一室の部屋から、あの女の子が転がるように飛び出してきた。


その直後、ピシャンと障子が閉じていく。


俺は唇を噛んで、ぼろぼろと涙を溢れさせながら障子を開こうとしているその女の子の腕を、後ろからぐいっと掴んで引っ張った。