ゆったりとした語りで、心なしか時間の流れが遅く感じる。今いる場所が木々に囲まれており、人工的な物がないということもあるだろう。
「それで、あなたは一体何の用事で?この辺りで人間に悪戯をしていた妖怪達は、私が反省させましたが」
年上だろうか。十代、もしくは二十代とは思うが、自分よりは年上だと判断した。雰囲気も落ち着いており、彼の周りには鳥が止まるかもしれない。そう思わせた。
「ええ、あなたがおっしゃる通り、この辺りで人間に害を為す妖怪の退治でここに。そして、一部始終を」
見ていたと。どうやら彼は出遅れた形になるようだ。この山で悪戯をしていた妖怪を退治にしに来たものの、依子の方が一足早かったようだ。


