【企画】いざ、勝負【キャラバト】


何のことかは言わずとも、鎌鼬のことだと判る。確かに、鬼神によって叩き付けられたのは二番だけだが、鎌鼬としてはそれは致命的。誰も欠けてはならなかったのだ。


「なかなかどうしてお見事と。あなたのお顔、拝見させて頂きます」


札を懐にしまい、その手で笠を顔が見えるまでに上げる。そうして見えた彼の顔。その目は見開かれており、依子を真っ直ぐ見据えている。


「……ひょっとして、今やっと私はあなたに認められたということでしょうか?」


「ええ、失礼なことです。そして、あなたに相応しいようにと、そうあろうと思ったまでですが」


「…………」


彼の当初の目的──依子の実力を計ることは達成された。しかし、彼は最後まで戦いたいということのようで。


ならばと、依子は静かに息を吐き、目を閉じる。それから一つ、大きく息を吸い込み、手に掴んだ札に念を込める。


「──おいでくださいませ」