流石鬼だと久方が半ば関心していると、
「──ッ!?」
次の瞬間に起こった光景に、彼は思わず息を呑む。二番が鬼神によって叩き付けられたからだ。
鬼神は腕を振るい、鎌鼬に一撃を与えようと奮闘していた。
確かに鎌鼬の動きは素早い。しかし、鬼神に傷を与えるには接近しなければならない。そして近付いた時に鬼神の腕が当たり、木に叩き付けられたのだ。
勢いよく木にぶち当たり、二番はそのまま地面に落ちた。それによって一番と三番も動くのを止めた。
それを見た依子はこれを勝機とし、鬼神に呼び掛ける。
「よしッ!さあ、鬼神ちゃん。後の子達も一気に──」
しかし、最後まで言い切ることが出来なかった。
鳴らされる錫杖。その音の発信源を見た時、依子はすぐさま声をかけ直した。
「鬼神ちゃんッ、避け──」


