「おいでくださいませ」
依子が袖から取り出したのは一枚の札。言葉と同時に札を投げ出し、ドロンと白い煙を出して現れたのは、鳴神(なるかみ)という白い狼。体毛には電気がほとばしっている。
「式神ですか」
関心したように口にする久方だが、彼の目はまだ閉じられたままだ。
「式神だけど、その前に私の友達です。──鳴神ちゃん、いっちゃって!」
依子の声に応え、その身に纏った青白い電気がより一層輝く。そして開いた口元には、渦を巻いた電気。それを久方に向かって一直線に発射した。
そして響いたのは「バチィッ」と弾けるような音。また、周囲を照らす強い閃光。それによって依子は腕で思わず目を庇う。
人に当たった音ではないし、そもそもその一撃で決まるとは依子も考えていない。
ならば何に当たったのかというと──


