「あっ、あの……!」


 このままじゃダメだと声を出した私に対し、あからさまに不機嫌そうな顔をしながらこちらを向く寺本くん。


「……なに?」


 声も不機嫌丸出しだ。


「弁当、作ったから、一緒に食べようと思っ……」

「無理。じゃ」

「……」


 寺本くんは、先に声をかけてきた女の子と一緒に、教室を出ていってしまった。

 女の子の顔が、一瞬、勝ち誇っていたように笑っていたのは、見間違いなんかじゃない……。