冷酷彼氏の憂鬱

 バタンッと扉を閉め、その扉を背にずるずるとその場にしゃがみ込む。

「はぁ~~……」


 そして、長い溜め息を吐いた。


「ほんっとに、かわいすぎ」


 ……愛美がかわいすぎて、どうにかなっちまいそうだ。

 いや、実際はもうどうにかなっちまっているのかもしれない。

 なんにせよ、憂鬱だ。


 ――冷酷彼氏の憂鬱。


 それは、愛する彼女のかわいさすべてに耐える毎日なのです。

 たまに耐え切れられずに手を出してしまうけれど、最終的には踏み止まる寺本千尋。

 どちらにしろ、彼にとっては毎日が憂鬱なことに変わりは無い。


END.