冷酷彼氏の憂鬱

 だよな。

 屋上という場所が場所なだけに、俺だってこんなところで盛りたいわけじゃない。

 やっぱり、“はじめて”はちゃんとしたところで……――そこまで考え、俺は軽く首を横に振る。

 若さのこともあり、変なことを考えただけで身体が熱くなってしまうので、首を横に振ることで考えを断ち切った。


「じゃ」

「う、うん。じゃあ、またあとでねっ」


 愛美は再びうなずき、ニコリと笑って手を振った。

 俺はそれに対して手を挙げるだけの返事をし、屋上から一歩、中に入った。