思い出した。
入学式の日。
看板の前で代わる代わる写真を撮る、生徒とその両親。
私の入学式には、誰も来るはずなくて。
一緒に写真を撮る人がいるはずもなくて。
ただひとり、立ちすくんでいた。
「どうしたの。」
そう言って声を掛けてくれたのは、天野先生、あなたでしたね。
「一緒に撮りましょう。私がお父さんの代わりでよければ。」
そんなことを言って、私を看板のところまで連れて行った。
戸惑っていて、だけど、なんだか少しうれしかった。
あの時は、名前を訊くこともなくて。
だけど、先生の雰囲気だけは、ほんのりと記憶に残っていたんだ―――
先生は、気付いていたんだね。
私があのときの生徒だって。
図書館で会った時が、初めての出会いだって思っていたのに。
そのずっと前に、先生と私は出会っていた。
先生は、そのときの写真を、こんなふうに大事にとっておいてくれたんだね―――
「先生っ、」
会いたい、先生に会いたい。
あの時のお礼が言いたい。
いつもいつも、私のこと助けてくれて、ありがとうって言いたい。
ずっと前に日誌に書いた、「すきです」という文字。
今は、それだけじゃ足りないよ。
もっともっと、伝えたいことがたくさん―――――
先生に会えてよかったと、伝えたいよ。
先生、来て―――――
入学式の日。
看板の前で代わる代わる写真を撮る、生徒とその両親。
私の入学式には、誰も来るはずなくて。
一緒に写真を撮る人がいるはずもなくて。
ただひとり、立ちすくんでいた。
「どうしたの。」
そう言って声を掛けてくれたのは、天野先生、あなたでしたね。
「一緒に撮りましょう。私がお父さんの代わりでよければ。」
そんなことを言って、私を看板のところまで連れて行った。
戸惑っていて、だけど、なんだか少しうれしかった。
あの時は、名前を訊くこともなくて。
だけど、先生の雰囲気だけは、ほんのりと記憶に残っていたんだ―――
先生は、気付いていたんだね。
私があのときの生徒だって。
図書館で会った時が、初めての出会いだって思っていたのに。
そのずっと前に、先生と私は出会っていた。
先生は、そのときの写真を、こんなふうに大事にとっておいてくれたんだね―――
「先生っ、」
会いたい、先生に会いたい。
あの時のお礼が言いたい。
いつもいつも、私のこと助けてくれて、ありがとうって言いたい。
ずっと前に日誌に書いた、「すきです」という文字。
今は、それだけじゃ足りないよ。
もっともっと、伝えたいことがたくさん―――――
先生に会えてよかったと、伝えたいよ。
先生、来て―――――

