「…おい、美鈴。何してんの。」 放課後の誰もいない教室で。 俺の目の前で、身長差20センチを埋めるため、一生懸命背伸びをしているのは、幼なじみの駒沢 美鈴。 くりっとしている目を俺に向けて、真っ赤にしている顔は。 ……ちょっと可愛い。 なんて、いやいや。 そんなことは、今は、問題ではない。 問題なのは。 「…何って、か、壁ドン?」 と言って、恥ずかしそうに目を潤ませている、美鈴が。 両手を精一杯伸ばして、俺を、壁と自分の間に挟み。 俺に、壁ドンをしているという事実。