一本、貰いまーす!と手を伸ばしたところで、目の前のポッキーは、後ろに下がってしまった。 「えー、武藤くん! ポッキーくれないの?」 じーっと、武藤くんとポッキーを交互に見る。 「…タダではやらない。 俺とのゲームに勝ったらね。」 そう言う武藤くんは、いつもどおりの無表情ではなくて。 私の好きな笑顔でもなくて。 見たことのない、楽しそうな表情だった。