ハッピーバースデイ


それが面白かったのか、笑顔を見せた。

心臓が痛い。


「だからキスさせて」


返事もしない内に銀司の顔が近くに来た。

軽く重なって、少し目を開くとあの夕陽が当たっていた顔とシンクロする。

油断していたら、唇を食まれた。それに驚いている暇もなく、口の中に舌が入り込む。

くちゅ、絡み合う水音がリアルで、足の指の先に力が入った。


誰が想像するでしょうか。

何年前の私どころか、昨日の私だってこんなことになるなんて。


解放されて、肺に酸素を送る。涙の溜まった目で銀司を見ると、目の下を紅くしていて。


「ごめん、でも可愛い」

「…それ謝ってるの?」

「謝って褒めてるよ」