ハッピーバースデイ


佐月君とすれ違ってまた校舎へ戻っていく。

こっちに来た佐月君が苦笑い。私も思わず苦笑い。

最近、二人になることが多い。


「佐月君、男紹介するって言ってくれてたでしょ?」

「あ、うん。乗る気になった?」


こくりと頷こうとした、時だった。

後ろから二の腕を引かれた。

ちーちゃんがもう帰ってきたのかと思って驚きながら振り向くと、考えたより高い身長に胸が痛くなる。


「葵は俺と帰るから」

「えー勝手に連れてかれると彼女に怒られるんすけど」

「あいつには言っといた」


心なしか銀司と話す佐月君が笑っている。