陰と陽を意識したのは中学二年のとき。
女子トイレはいつだって秘密の話であふれている。
その時仲の良かった子と、他のクラスの子が話しているのを聞いた。
「銀君本当かっこいいし優しいし」
「えーでも、あんたと仲良い子の幼馴染なんでしょ?」
「だけど、なんかタイプが違うもん。それに葵と居たら、自然に銀君とも近づけるし!」
あー、と頭の中で自分の声が反響するのが分かる。
悪意はないと思う。実際、普通にその子とも卒業まで仲良くしていた。
それでも、やっぱり銀司とは『タイプが違う』んだ、と実感もしてしまった。
からかわれたんだ。



