最近ぼーっとしてるね。 ちーちゃん以外の人にもよく言われてしまった。 ついにはお母さんまで、 「ちょっと熱? 体温測ってみなさいよー」 なんて言う始末。 ないってば、熱じゃない。私はあの時、魂が抜けてしまったんだ。 ゆっくり視線を横に動かすと、茶色い髪が映った。 びっくりした。いつからそこで眠っていたんだろう。 いつしかのように、銀司が私の隣の席で眠っている。 昼間の光が反射する。 その髪に手を伸ばす。触っても良いだろうか。 躊躇うより先に、指先が髪に触れた。あ、柔らかい。