ハッピーバースデイ


多分、運命なんだと思う。

銀司は私と仲良くしてくれるけれど、それまでなんだ。

だって陽と陰だ。

手が届かないなら、手が届かない距離で生まれれば良かったのに。


「葵ちゃん、」


いつの間にか隣に並んでいた佐月君に気付く。


「なんか、ごめん」

「え、あ、そんな。佐月君が謝ることじゃないよ、てゆうか嘘吐いてごめんなさい…」

「こちらこそ、レシピ本買わせちゃって…」

「これは欲しかったから。あの…ちーちゃんには」


それが一番気にしているところです。

勿論言えない。きっぱりと言った佐月君。