《…電波の届かない場所にいるか………》
携帯から聞こえるのは無機質な音声の繰り返し。
斗真には繋がらなかった。
「大丈夫ですよ。
明日になったら
元気にでてきますよ」
溜め息をついて携帯を握りしめる私に、かずくんがそう声をかけてくれた。
「かずくんて
結構いいやつだね~。奈緒ちゃんて意外と見る目あんだね~?」
「香織さん、結構が余計ですって」
「大丈夫だって。
たかが熱じゃん!
んなものは、一晩ねてりゃ~なおるわよ。ね?かずくん」
二人は一生懸命私を気遣ってくれている。
そんな二人を安心させるように
「そうだよね?」
笑顔でそう言ってみせた。


