「…うそ?」
「ほんと。
葵ってば、意外と自分の気持ちに鈍感だし、あたしが好きだっていえば、気づくかなって?
それに、ご飯食べに行ったときさ~斗真は葵の話ばっかりしてたしね」
香織の話が真実かはわからない。
あの、チョコを胸に抱いた香織の姿が頭に浮かんだ。
「葵~。いつまでもそんな暗い顔してると酒がまずくなるよ?
いつもの葵らしく笑ってみ?ほれ?」
「ん…」
「じゃ~ここ葵のおごりね?」
香織は笑って煙草に火をつけた。
「っていうかさ、その一緒に住んでるエリカさんてさ…
斗真と何かワケありなの?」
「え?…う…ん」
「んじゃ~当の本人が来るのを待つとしますか?」
私の短い返答に香織はそれ以上詮索しなかった。