「へ?何で私が?」
「さりげなく…
軽い感じでね。お願い」
いきなりそんな質問なげかけたら、私が彼に気があるみたいじゃない…?
なんて思いつつも…
聞いてみたい質問でもあった。
目配せしながら、肘でツンツン催促する香織にしかたなく
「…斗真くんって彼女とかいるの?」
なるべくさりげない感じで聞いてみたつもり。
「え?俺…?
俺は…フリー。
たくさんいる俺のファンに悪いからさ…なーんてね」
さほど驚いた様子もなく軽くあしらわれた感じ。
でも香織は
「やっぱり、ファンの人とかたくさんいるの?
んじゃ~私も斗真くんのファンになる!」
「光栄です。」
冗談まじりで、こんな風なやりとりをしながら、後日軽く食事に行く約束をしていた二人。
「葵も行こうよ?」という香織の言葉に
「私はいいよ…
バイトあるし…二人でどうぞ」
にこやかに微笑んで返事をした私。
ほんの少し胸の奥がザワザワしたような気がしたけど。


