自宅に帰りついても、まだ体は宙に浮いているようだった。


夢でも見ているかのようなフワフワとした感覚が全身を覆っていた。


まだかすかに
斗真の唇の感触が、残っている唇にそっとふれてみた。


そんな夢見心地の反面、後悔も少し頭によぎる。



『帰りたくない…』

どうしてあんな言葉を言ってしまったんだろう…?



今思い出しても恥ずかしくなる。

でも

本心だった。



ただ離れたくなかった…

あのままもう二度と会えなくなるかもしれない…

何だかそんな気がしたから。