「…斗真?

私、もうだめだよ………もう限界。」


「葵?…」


俺は葵の真正面にたち、両腕を持って、葵の瞳を見つめた。


葵の体は震えていた。


まるで繊細なガラス細工のように今にも壊れてなくなってしまいそうな…そんな気がした。



「斗真とね、一緒にいればいるほど……

斗真を好きな自分がたくさんたくさん溢れてくるの……。


最後だなんて、自分でかっこいい事言っちゃったけど…

ほんとはね、最後になんて全然できないの…。


行きたかった場所はね?
二人の大切な場所。


だから………

最後の場所にはやっぱりしたくない…。

あの日の幸せいっぱいのままの場所にしておきたいから……。」


葵はまた無理やり悲しそうな瞳で微笑んだ。