しばらく重苦しい沈黙が続いたあと、意を決して声をだしたのは、私。


「…斗真…
あのね、一つだけお願いがあるんだけど…」


涙のせいなのか、少しかすれた声の私を見つめ、優しくゆっくりとうなずいた。


まだ何もお願いしてないのに……。


まるで
「何でもきいてあげるよ。」

とでもいうように、優しい瞳が私に向けられていた。


「1日だけ、1日だけ私にくれる?
最後にね、斗真と一緒に行きたい場所があるの。」


最後って言葉を自分から口にしてた…。

思わずまた瞳がうるんできそうになったけど、あわてて回避した。



最後…

これは最後のカケ。


「…わかったよ」

「…じゃ来週のクリスマスに…約束だよ?」


そう言って私は斗真と指切りをした。


そう…


初めてのデートの約束をしたあの日と同じように…

指切りをした。