待ち合わせ場所はいつもの駅前。


「…香織~お待たせ。待ったぁ…?」



最終のお客様の帰りが長引いて、ここまで猛ダッシュできた。


「遅~い!
と、いいたいとこだけど、実は私も今きたとこ…」


香織はイタズラっこのように、ニコッと舌を出して笑顔を見せた。


「え~。なんだぁ…走って損した気分」


「葵は不摂生な生活送ってるんだから、たまには運動もしなきゃ?

さ、今日はどこに飲みに行く?」


香織にそう言われてふと思いだした。


「そうそう!

この間初めて行ったお店なんだけどね。
結構お洒落な感じで落ち着けるんだよね。

きっと香織も気に入ると思うんだけど?」


「そうなんだぁ?
んじゃ~そこにしよ」


あっさりとオッケーしてくれた香織は私の背中を急かすように押して歩きだした。