港近くの倉庫が立ち並ぶ場所。


夜は真っ暗で、人の気配などなく、ひっそりと静まりかえっている。


悪い連中のたまり場として、ここは最高の場所だった。


懐中電灯で辺りを照らしながら、斗真を探した。



人が倒れている?


懐中電灯が照らしだした姿。



「斗真…?」



顔を背けたくなるようなひどい状態だった…


近くには血がついた木刀や鉄パイプなどがたくさん放置されていた。



頭からはかなりの出血。


…な、何でこんな?


「……これ…くらい大丈夫だ。」



「斗真?」


意識がちゃんとある事に少しだけほっとした。


「ま…待ってて。すぐ車を近くまでつけるから」


車を近くまでつけて斗真を抱えながら必死で車まで歩いた。


「何でこんなになってんのよ…?

斗真…喧嘩めちゃめちゃ強いじゃん」



「……暴力からは…何もうまれない…だろ?


葵の事も…
おまえの事も…もう手だしはしねぇって」



「あ………あたしの事って?」



「俺のために殴られたんだってな?…

シンってヤツから聞いた…
ごめんな?エリカ」