かずくんを見送った後も、私は休憩所のソファの上で膝をかかえながら座っていた。
大きな窓にもたれかかりながら外の景色をただ眺めていた。
今は何も考えたくなかった。
何時間たったんだろう…?
いつのまにか日が落ちて、窓から見える景色が徐々に変化しだした。
暗闇の中に灯りがポツポツ灯る。
「あっ…」
あの日
斗真と一緒に見た夜景を思い出した。
…あの日の事もホントに忘れてしまったの?
『ずっと俺のそばにいろよ』
そういってくれたじゃない?
この指輪
照れたような笑顔ではめてくれたじゃない…
来年も、その次の年も、ずっとずっと一緒にあの場所にいこうって約束したじゃない…
あの日からまだ…
2週間しかたってないのに…
なのに何で?
私は溢れる涙を止められず…
斗真のいる病室にも戻れなかった。


