次の日
病室の中から聞こえる笑い声。
私も笑顔になりながらノックをした。
部屋に入ると椅子に腰掛けた後ろ姿が振り向く。
「やっぱり、かずくんだ?」
「あっ?葵さん。久しぶりっす」
かずくんは片手をあげてニコッと笑った。
「かずくん…わざわざありがとうね。ゆっくりしていってね」
かずくんとこんな会話をしながら、私はやっと斗真に話かけた。
「斗真。着替えとかこのバックに入れてあるからね………
ん?」
何?
斗真の反応がおかしい…?
私を見る目が明らかにおかしい?
「…ね?
斗真…聞こえてるよね…?」
私は冗談ぽく斗真の顔の前で手をふって自分の顔を近づけてみた。
斗真は表情を全く変えない。
そしてひと言…
「……君って誰…?」
何でそんなセリフになるのか理解できず…
「………え?…
うそ…?やだぁ~
斗真ったら…またふざけて~
かずくんと二人で
私の事からかったりしてさ…
やめてよぉ~
そんな冗談!」
二人ともリアクションなし…
え…?うそ…?
私の事がわからないの?


