でも

斗真は私を殴らなかった…


何度も何度も壁に打ち付けた斗真の拳は血で染まっていた…

「葵を襲ったやつらの居場所知ってるよな?」


「……もうアイツらには関わらない方がいい。」


「それじゃ~

葵を守れねぇ~んだよ!」


斗真は狂気に満ちていた。

あたしの携帯を奪いとり、シンの携帯バンゴーをおした。


シンとの会話は聞き取れなかったけど、電話をきるとすぐに斗真は出ていこうとする。


シンに会いにいくつもりだ…


あたしは必死に止めようとした。


「お願い…
アイツらは、やばいやつらだから…行かないで。斗真」


あたしの言葉なんて当然斗真の耳に入るわけもなく、何も答えることなくあたしの手を振り払って出ていった。