シャワーから出たら部屋に斗真の姿はなかった。


「香織…斗真は?」


「ん?
コンビニかな?」


救急箱を片手に持ちながら、香織は答えた。


「そう?」


「…うっっ。
痛いよぉ~かおりぃ…」


「…もうちょいだから我慢我慢」


「…はい」


香織は消毒をしてバンドエイドをいっぱいはってくれた。


「顔は…冷やしても多分明日には青紫色になってもっと腫れそうだね~? 」


香織はいつもと変わらなかった。それがとても有難かった。


「うん…
しばらくはエステもラウンジの仕事もダメだね…」


「しばらくはゆっくり休みな?」


「うん。ありがとね。香織」


私のために泣きはらした真っ赤な瞳をした香織は、にこっと笑った。