腕時計の針はちょうど12時。


「何とか間に合ったな…」


まだ葵が来てなくてほっとした。


夜は人通りが少ない神社。
こんな寂しい場所で葵を一人で待たせるのは心配だから、いつもここに到着するのは12時前。


ひさしぶりに全速力で走ったから、ほんの少し額に汗がにじんでいた。


荷物を下におろして煙草に火をつけた。

軽いため息が、煙草の煙と一緒にでた。


やっと…
暗く長いトンネルを抜け出たような感覚だった。


そんな解放感に浸りながら葵の来るのをまっていた俺。