そして
高笑いが終わると同時に


「ほんとに…ヤナ女。
あんた何様のつもりなの?

斗真はあたしのものなんだよ。

さっさと返しなさいよ!」


彼女は机をバンと叩きながら大声ですごんだ。


「エリカさん…

私は、あなたみたいに大切な人を苦しめたり悲しませたりしない…


斗真にはいつも笑顔でいてほしい…

斗真を苦しめるだけのあなたに

斗真は絶対に渡せない」


「なんですって~この泥棒猫!」


「…きゃっ」


ティカップのなかのまだ温かい紅茶を突然浴びせられた。


「あんたね…何言ってんのよ!!

斗真はね…

あたしのとこに帰ってくることになってんのよ!

あんたなんかに
斗真は絶対に渡さないから!!

どんなことしても
斗真を取り返すからね!」


彼女はそう捨て台詞を残して、でていった。


残された私は

汚れた白衣の事よりも、エリカさんがまだ斗真を忘れていない現実に、ものすごく胸が痛かった。