それから数時間たっても、斗真は私の顔も見ようとはせず、私の問いかけにも、生返事ばかり…


いい加減腹が立ってきた私は、寝転んだままの斗真に後ろからクッションをぶつけた。


「つっ…いって~!何すんだよ?」


体を起こしてこっちを振り向いた斗真の表情は怒っていた。

「言いたいことあるならちゃんと言ってよ!」


「…ねえよ」


そう言ってすぐに私に背を向けた。


「もう~マジでムカつく…」


斗真のすぐそばまでいき、斗真の真ん前に座りこんだ私は


「んじゃ~何でそんなに不機嫌なのよ?」

喧嘩売るみたいにそう詰め寄ったのに…

喧嘩を買うどころか、斗真は自分の胸のなかに私をそっと抱き寄せた。


「え…?あの…?斗真?」


「…ごめん。
俺も男だから、焼きもちやくっつうの…」


「…やっぱり?」


「おまえなぁ…わかってるんなら聞くな」


「ごめん」


少し嬉しいな
なんていうと怒るかな?


「あっそうだ…
来週の休みさ~連れて行きたいとこあんだけど…」


「どこ行くの?」


「それは内緒…」


さっきまでの空気が嘘のように、幸せな空気が二人を包んでいた。