「これ…一つお願いします」

香織のチョコがやっと決まったようだ。

「んじゃ…
私は…こっちの10個ください」


「え?10個?店のお客に自腹なの?」

香織が考えられないといった顔でこっちを見る。


「まぁ~ね」


「葵は…彼にあげないの?」


「あ~…あいつ?…」

私の悩みの張本人のアイツから連絡が入ったのは確か数日前。


別に百パーセント期待などなかったけど。


アイツから返ってきた言葉は『ほんとに俺の?』だった。


あまりにもムカムカして、目の前にいたら思いきり文句言って、蹴飛ばしてただろうけど…


『もう二度と電話してこないでよね…』

静かにそう告げて、携帯をきってやった。


本気じゃない恋愛ごっこの終わり方なんてこんな感じ…