奈緒ちゃんとの会話は上の空。 精一杯の作り笑顔の私の頭の中は、今日ここに来たことを後悔し始めていた。 斗真と二人で店に戻ってきてわずか数分後… ドアが開いて入ってきた人物に、一瞬私の目は釘付けになった。 ありえなくはなかった… だって今日は斗真の誕生日だもんね。 その人は… ボックス席へと案内しようとするかずくんの接客を断り、カウンターの私の席から一つ空席を挟んで座った。 私と彼女の距離は、座席ひとつ分。 わすが40センチくらい… そう… 彼女は… エリカさんだった。