「葵ちゃんいらっしゃい。
あれ?今日は一人?香織ちゃんは後でくるの?」
「ううん…今日は一人…
たまには一人で静かに飲むのもいいかなって…」
笑える気分じゃないのに、そう言って笑ってみせた。
メニューを見ても、飲みたいお酒もなかなか見つからない。
そんな私の前に、淡いピンク色の上品な色合いのカクテルが置かれた。
「これ…私の?」
「俺のオリジナルカクテル。甘くて飲みやすいから飲んでみて」
斗真が作ってくれたオリジナルカクテルは、フルーティで爽やかで優しい味がした。
今日は斗真の顔を何となく見れなくて、下ばかり向いていた不自然な私に
「俺でよかったら、話くらいなら聞くけど?」
斗真から急にそんなセリフを投げかけられて驚いて顔をあげた。
「え?」
「だって…何か聞いてほしい話があるって顔に書いてあるし」