結局、エリカは一晩中俺のそばから離れようとはしなかった。


「エリカ…俺は何ともないから、自分の部屋でちゃんと寝ろよ」


「あたしなら大丈夫だよ。」


笑顔でそう答えてゆずらない。


「…エリカ」


「あたし…斗真に迷惑ばかりかけてるから…

ちゃんと看病させてほしい。お願い…」

「……」


熱のせいなのか…
それを覆すうまい返答が見つからなかった。


薄れていく意識の中で、葵の笑顔が浮かんだ。

その笑顔が
今の俺には胸がチクチクするように傷んた。