先輩は黙ったまま身動きひとつしなかった。 ちょっと言い過ぎたのかもしれない。 私の言葉に気を悪くしたのかもしれない。 だけど間違ったことは言ってない。 後悔は、してない。 そう……後悔は。 「まさかお前に説教されるとはな」 気まずくて下を向いた時、隣からボソッと呟く声が聞こえた。 「説教だなんて……思ったことを言っただけです」 だって先輩は 何かを諦めてしまったように思えるから。