スーッと大きく息を吸い込んでゆっくり吐き出す。 そして意を決して足を進めた。 だけど 角を曲がった先にいたのは──── 「智沙先輩……?」 思いつめたような顔でベンチに座って、私を見るなり立ち上がって駆け寄って来た。 わけがわからなくて困惑する。 なんで智沙先輩が……? 「ごめんね……急に呼び出しちゃって」 下を向きながら、智沙先輩は私の顔をちらりと覗き見る。 「い、いえ……」 照りつける太陽がジリジリ暑い。 そんな中でも智沙先輩の魅力は、衰えるどころか際立っていた。