青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



「……私をひとりにするなんか、許さないもん」


そう言って、彼女は可愛らしく唇を尖らせるけど。

…ウソだ、と思った。

それなら、利乃ちゃんだって一緒に走ればよかったんだ。

なのに、止めた。


まるで、ふたりきりにさせようとでも言わんばかりに。


「……邪魔、しないでよ」

「………ダメ、なの。ごめん、トモくん」


俺の服の裾を、ぎゅう、と掴む。

その手が震えている気がして、俺は目を見開いた。

……なんで、そんな辛そうな顔してんの。

なんで………


利乃ちゃんの視線の先には、ふたりがいて。

夏の暑さが肌ににじむなか、俺はその場に立ち尽くしていた。






「…っ、池谷くん」


女性と、にこやかに会話をしながら荷物を拾う池谷くんの隣に座って、あたしも拾う。

「……小城さん」

池谷くんが驚いたような声であたしを見たけど、なにも言わなかった。