青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



「……っ、」


横断歩道へと歩いていた、足が止まる。

あたしは反射的に、そこへ走り出した。

利乃とトモは、もう横断歩道を半分まで歩いていて。


「………っ麗奈ちゃん!」


後ろでトモの声が聞こえたけど、振り返らなかった。

…だって、もう。


走り出したこの足を、止める術をあたしは知らない。






「………………」


麗奈ちゃんが、慎也のもとへ駆け寄っていった。

ここからでも見えるけど、ふたりはおばあさんらしき人の荷物を拾ってあげている。

俺と利乃ちゃんは横断歩道を渡って、ふたりの様子を見ながら待つことにした。

……ホントは、麗奈ちゃんと慎也のもとへ、行くこともできたんだ。

そのくらいの時間は、あったのに。


「……利乃ちゃん。なんで、引き留めるんだよ」


今も、俺の服の裾を掴んで離さない利乃ちゃんに、止められたんだ。

ふたりの方へ走ろうとする俺を、『ダメ』と言って。