「だ…大丈夫!ありがと」
慌てて笑って、誤魔化す。
すると池谷くんは眉を寄せて、「小城さん、ちょっとここで待ってて」と言った。
あたしを木陰のなかへつれていって、彼はどこかへ歩いていく。
…えっ!?
「ちょ、どこ行…」
池谷くんはきょろきょろと周りを見回すと、何かを見つけたのか、そっちへ歩いて行った。
ええ…ど、どういうこと。
待っててと言われたので、仕方なく待つ。
…あ。でも、涼しい。
さっきまで暑さで頭がぼーっとしてたけど、木陰にいるとますます意識がハッキリしてきた。
…利乃、怒ってるかな。
そう思って、いやないなと思い直す。
利乃はあんな風に頬を膨らませてはみても、実際は全く怒っていなかったりするのがほとんどだ。
…早く、利乃とトモに追いつかなきゃなぁ……
「小城さん」
ちょっとと言った通り、池谷くんはすぐに戻ってきた。