「…さぁ、ね」
そう言ってはぐらかすと、池谷くんは紅茶を持って「そろそろ戻ろうか」と言った。
「……え、あっ、うん」
慌ててコーラの缶を取り出して、後を追う。
利乃とトモのもとへ戻るまでの間、池谷くんが話を振ってくれたけど、曖昧な返事しかできなかった。
……そう、だよね。
池谷くんだって、好きな人くらい、いる。
当たり前のことだ。
けど…ずっと、って。
長い間、ひとりの人を思い続けてるってこと?
頭の中が、真っ白になったみたいだ。
そうなってから、ようやくあたしは気がついた。
……この人を、好きになっちゃいけない。
*
トモに告白されてから、三日が経った。
あたしは、未だに返事が出来ていない。
トモはゆっくりでいいよって、笑ってくれるけど。
やっぱり、早いとこ返事しなきゃダメだよなって、思う。



