青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



「…さぁ、ね」


そう言ってはぐらかすと、池谷くんは紅茶を持って「そろそろ戻ろうか」と言った。

「……え、あっ、うん」

慌ててコーラの缶を取り出して、後を追う。

利乃とトモのもとへ戻るまでの間、池谷くんが話を振ってくれたけど、曖昧な返事しかできなかった。


……そう、だよね。

池谷くんだって、好きな人くらい、いる。

当たり前のことだ。

けど…ずっと、って。

長い間、ひとりの人を思い続けてるってこと?

頭の中が、真っ白になったみたいだ。

そうなってから、ようやくあたしは気がついた。


……この人を、好きになっちゃいけない。






トモに告白されてから、三日が経った。

あたしは、未だに返事が出来ていない。

トモはゆっくりでいいよって、笑ってくれるけど。

やっぱり、早いとこ返事しなきゃダメだよなって、思う。