恥ずかしすぎて、逃げ出してたかもしれない。
池谷くんとで、よかったなぁ。
思わずこのゆったりした空気に和んでいると、ふと池谷くんが「そういえばさぁ」と言った。
「トモに、告白されたんだってね」
………え!?
和んでいたはずの空気が、一気にぶち壊される。
え、え、ええ!?
なんで知ってんの!?
口をパクパクとさせるあたしを、池谷くんは面白そうに笑う。
いや、笑ってる場合じゃないでしょ!
「な、なんで、それっ…」
「トモから言ってきたよ。『俺、麗奈ちゃんに告白したから』って。なんであんなにケンカ腰だったのかは知らないけど」
そう言って笑う池谷くんを、恥ずかしくて見ることができない。
な、な、な…
なんで言うの、トモーー!
あたしは利乃にさえ言わなかったのにー!
「で、返事はしたの?」
ピッ、と池谷くんが、自販機のボタンを押す。
あたしは言葉に詰まって、「…ま、まだ…」とぎこちなく返事をした。



