「…麗奈ちゃん」


ドキ、と。

いつも呼ばれているはずなのに、何故だか胸が痛くなる。

彼にしては落ち着いた声をして、あたしの耳元で囁いた。


「…さっきの、本気だから。返事、今度聞かせてね」


利乃と池谷くんが、あたし達のやりとりには気づかずに、歩いていく。

トモの手が腕からゆっくりと離されると同時に、あたしは弱々しく口を開いた。


「……わ、かった……」





午後、六時。

家に着いて、バタリとベッドに倒れ込む。

ハァーーっと、大きくため息をついた。


「…………」


…今日の放課後は、トモとの何気ない距離にものすごく緊張した。

トモがちょっと近づいてくるだけで、ドキっとしちゃって。

そしたらトモ、ニコニコ笑うし。

なんなの、もう。

なんなの………