「…麗奈ちゃん」
ドキ、と。
いつも呼ばれているはずなのに、何故だか胸が痛くなる。
彼にしては落ち着いた声をして、あたしの耳元で囁いた。
「…さっきの、本気だから。返事、今度聞かせてね」
利乃と池谷くんが、あたし達のやりとりには気づかずに、歩いていく。
トモの手が腕からゆっくりと離されると同時に、あたしは弱々しく口を開いた。
「……わ、かった……」
*
午後、六時。
家に着いて、バタリとベッドに倒れ込む。
ハァーーっと、大きくため息をついた。
「…………」
…今日の放課後は、トモとの何気ない距離にものすごく緊張した。
トモがちょっと近づいてくるだけで、ドキっとしちゃって。
そしたらトモ、ニコニコ笑うし。
なんなの、もう。
なんなの………