「まぁ、当然だよね。麗奈ちゃんを雨の中帰らせてたら、私が慎ちゃん許さないもん」
ふふふー、と池谷くんに向かって含み笑いをする利乃。
あたしは池谷くんと目を合わせて、「やっぱりね」と肩をすくめる彼に笑った。
……さっきの利乃とトモの表情が、気になるけど。
たぶん、あたしの気のせいだ。
*
放課後、四人で寄り道をしながら帰ることになった。
利乃が、学校近くに新しくできたお店のアイスを食べたいとか、トモが新曲のCD出たから買いに行きたいとか。
池谷くんが転校してきてから、四人でいるのが自然になってきたから、不思議だ。
「あっ、待って。私、自販機で飲み物買いたい」
ぞろぞろと昇降口を出たところで、利乃が近くの自販機へと走っていく。
別に急がなくても、ちゃんと待ってるのに。
…いや、早くアイスが食べたいだけか。
「…あ、利乃。俺も行く」
すると、そう言って池谷くんが、あたしの横を通り過ぎた。
少しだけドキッとして、利乃のもとへ走っていく彼の姿を見つめる。



