今日から、九月。
つまりは夏休みが明けて、また学校が始まる。
…のに。
一限目の始業式が終わった今も、まだ慎也と利乃は学校に来ていない。
ざわざわと騒がしい生徒達のなか、周りを見回す。
利乃の姿は、ない。
……本当に、不安が的中してしまった。
利乃はあたしに会いたくなくて、休んだんじゃ…
そう思って、始業式のあとの休み時間に、思わず机にうつぶせていると。
突然、教室の端っこからガタッと勢い良く席を立つ大きな音がした。
「麗奈ちゃん!」
名前を呼ばれて、びくりと肩が跳ねる。
…案の定、そこにいたのはトモだった。
携帯を持ってあたしを見つめる彼は、焦った顔をしてあたしのもとへ来て。
バッと携帯を見せてくる。
そこにあったのは、メールの文章。
あたしは、目を見開いた。
*
「……今日から、九月」
家を出る前に、カレンダーをめくってみる。
私はその『九』という数字が、やけに寂しく感じた。