「お前、全然連絡返してこねえんだもん。こうやって待ち伏せるしかないだろ〜」
「…それは、ごめん」
それだけ言って、門を開けようとする。
けど、トモは横目に俺を見ながら、「お前さぁ」と言った。
「…何が、怖いの?」
カシャン、と。
黒い鉄格子の門が、音を立てる。
立ち止まった俺に、トモは続けた。
「…麗奈ちゃんと付き合って、利乃ちゃんがひとりになると思ってんの?」
…昔から、トモは人の気持ちを見抜くのがうまかった。
よく、見てるから。
周りのことを、人一倍。
ぎゅ、ときつく門の鉄を握りしめる。
俺は感情を精一杯に抑えて、声を出した。
「…別に何も、怖くない」
静かな夜の空間に、俺の声が響く。
トモはいつになく厳しい瞳をして、俺を見ていた。
「…今更、誤魔化すなよ。もう俺も麗奈ちゃんも、わかってんだよ。お前の気持ちも、利乃ちゃんの気持ちも」
「…だから、なんだよ。…利乃とのことに、麗奈は関係ない」
「慎也!」
門を開けて歩き出した俺に、トモはイラついたように名前を呼ぶ。



